石灰・珪砂・炭酸ソーダ、これを高温でとかし固めると、かたくてもろい、すきとおった物質ができあがる。ときとして、繊細な人の心を表わすこの物質。 今回はそんなガラスをアートする江橋さんのお店“J-Kit's”へ行ってきました。
ご自身達で3年かけて建てたというご自宅の横に工房“J-Kit's”はあります。 よく見慣れたコーラの瓶の口がくにゃり。 ちっちゃなガラスのさくらんぼ。 インディオがこんなの身につけていたっけ。 流木を使った作品や木工、木彫り、いろいろな作品がありました。 でもなぜか惹かれるんですよ、ガラスには。 ビードロ、江戸切り子、クリスタルガラス、ボヘミアンカットガラス。 エミールガレやラリック。
ガラスって子供の心だと思うんです。 様々なファクターでそれぞれの形を形成し、少しの衝撃でこわれてしまう。 よく「個性をのばす、大事にする」などの言葉を耳にしますが、子供の心に大人が勝手に通性をおしつける言葉なのではないんでしょうか。 子供の心は真っ白で、まだ個性の形成には至っていないと思うんです。この言葉ってもしかしたら大人達の子供達の心に対する育生放棄なのではないんでしょうか。 そういえば、最近育児放棄のニュースがよく流れるし(ひどいときには虐待なんていうことも)、身近では少し前にはあったはずの、他人の子供でも叱ってくれるオヤジの存在、見かけなくなりましたよね。
感受性の豊かなこの時期に、我々大人は様々な体験を彼らにさせてあげなければいけないのかもしれません。 様々な本を読ませて、想像する力を育ててあげなければいけないのかもしれません。 バーチャルゲームは、ビジュアルな面での体験で、現実のそれを歪曲させ心身の育生を阻害しているのかもしれません。 “J-Kit's”のガラスを眺めながら、こわれやすい子供達の心を考える私は、自分の子供達に何かやり残したことを感じています。
松本 記
ガラス・ウッド工房 J-Kit's ひたちなか市津田2769-9 TEL・FAX●029-276-3201 11:00〜18:00●月曜定休 http://www.j-kits.com