霜も降り、いよいよ晩秋。 山も里も色づいて、空は青、山は赤や黄。 今回は少々色についてのうんちくを。
最近はアイボリー、ターコイス・ブルー・・・やたら色名をいう傾向が多くなりましたが、和名も捨てたものではありません。 鶯色とか山吹色くらいならすぐイメージできますが、言葉の感じと実際の色が全然違うものが少なくないのが和名の色。 例えば、浅黄色。なんとなく黄色を連想するでしょうが、実際は緑がかった青。 花色というとピンクか赤を連想しがちですが、これは薄い藍色で、「利休鼠の雨が降る」という歌詞で知られる利休鼠は、緑色をした灰色。 樺色は赤味を帯びた黄色、御納戸色は、ねずみ色がかった藍色、鴇(とき)色は淡紅色。 さてあなたはいくつ知っていました?
なにしろ、ひと口に紫といっても、江戸紫、赤紫、似せ紫、滅紫(けし)、古代紫、京紫、紅紫・・・と微妙な色合いがあるのですから恐れ入ります。 赤みがかった京紫に対抗して、江戸紫はやや青みがかった紫。 古代紫は、やや黒みがかったもので、滅紫は少し色あせたような紫。 ひとつひとつの色名に、それぞれの歴史があるところが和名のいいところですね。
あなたはこの秋を何色で表現します? 赤や黄色だけでは、つまらないような気がしません?
松本 記