作品の詳細及びイデオロギーは主宰大橋氏におまかせしますが(どうぞ遊びに行って聞いてみて下さい)私は、今の仕事に足を踏み入れた頃を思い出し、少し書いてみることにします。 |
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当時のパリは、日本より少し寒かった気がします。
料理の勉強に訪れた地は、私に別な世界を教えてくれました。
日本人だらけのシャンゼリゼにうんざりした私に、ボーブル、ポンピドー、カルチェラタンは、彼らの素直な側面を見せてくれたのです。
「個性」それは彼らの生きるテーマなのかもしれません。人、ファッション、ショップ、街並みすべてがONLY ONE、どれ一つとして同じものはありません。 |
食に関してもそうでした。
特に菓子に対しては、まさにアート。店はアートギャラリーでした。
単なる生きる糧としての食材が、心の糧として存在する。当時の私にはカルチャーショックでした。
人が卵、砂糖、粉を英知の限りを尽くして作り上げ(どうして卵を泡立てる、砂糖・粉を混ぜ焼くなんて発想にたどりつくのか、人というのは不思議な生き物です)そのくせ自然の果物を飾りつける。
そのなかには、ちゃんと自分の個性をトッピング。感性の同調するお客さんがそれを買っていく。まさに芸術の世界です。
そんな世界だからこそ、私を魅了したのでしょう。
ブランドもいいけれど、それってあなたの個性ですか?
お金で買えない心の糧を、あなたの個性を、そろそろ見つけてはいかがですか?
便利な中での不便、直線の中での曲線、時代はアールヌーボーの時代への憧れをまだ捨てきれないのかもしれません。
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ONLY ONEに行ってみて下さい。
何か忘れていたものを発見できると思います。
人間は、己が自然の造形物の一部であることに気付くはずです。
松本 記
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