黒山の牛だかり

ほんの少しだけ昔、こんな風景だった気がします。
ほんの少しだけ昔、こんな仲間たちがいた気がします。


今回おじゃましたのは峰島智之氏。
肉用牛の子牛を出すため18頭の基牛を飼育している方です。
でも牛の話を紹介したいわけではないんです。峰島氏の夢のはなしを少しだけしたいんです。

数年前まで氏は、半官半民の事業所で福祉関係の仕事をしていたそうです。
そこで身障者のリハビリに、ポニーやミニチュアホースが有効であることを知り、こんどはその環境を自分で作ることができたらと思っているそうです。

「あそこでポニーやミニチュアホースを飼って、こちらにはちょっとした食事を出すお店を、リハビリを兼ねてやりたいんです」

「サラリーマン時代より収入は少ないですけどね。でもいいですよ、こういう生き方も」

「本当は動物たちって人なつっこいんですよ。牛たちも鳥たちも。だから牛が寄ってきたでしょ、さっき」
(確かに私が写真を撮っていると牛に囲まれました)
「こんなことなんですよ、今必要なのは」

なんか氏の話って、今の我々にこそ必要なリハビリなんじゃないかな。
人って、いろんなしがらみの中で生きて、見栄張って、人の目を気にして、いやらしい計算のもとに生きているんじゃないかな。そんなことって、実は、さびしくつらいことなんだと思う。
“着飾って、いい車乗って、いい家に住んで”牛たちにとって、そんなことは評価に値する事じゃない。
ほんとうに評価されることって、夢を楽しそうに幸せそうに語れること、氏を見てそう思うんです。

なんか今回は妙に考えさせられるレポートとなりました。


南米のアローカナ、チャボ、なんかわかんない鳥もいっぱい放し飼いになっていました。
ここの住人になろうかな。でも、人間様は仲間はずれかもしれませんね、彼等からは。

松本 記 

PS.アローカナの卵は緑色のカラでした。





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