「軍艦!軍艦!商船!」
「オーナーって鹿に似ている」
※鹿とは、鹿に追いかけられたことのある先生のニックネームらしい。
「ひじき!まゆ!」
何やら不可思議な言葉が飛び交う世界、アンファン唯一の10代エミチャンもこれには一蹴されてしまいました。
はやくもジェネレーションギャップか!と戸惑う我々をよそに、彼女たちの世界はまだまだ続いたのでした。
でも、そこは女の子、ケーキ造りは器用なものです。
カボチャのプリン、ケーキの型抜き、そしてタルト作りなど。
もともと手先の細かい、繊細な作業が多いケーキ造りは、センスと情熱さえあれば、むしろ女性に向いているのかもしれません。
学校でもこの調子なのかと少々意地悪を企んで、歴史、数学、科学と知識の限りを尽くして次々と質問を浴びせるのですが、そこは現役、ものの見事に答えてくるではありませんか。
いやはや、まいりました。
喧噪の三中生との一日が終わり、二日目へと突入・・・
昨日のこともあるからと、構えるスタッフ一同。
しかし、あにはからんや一中生の静かなこと。
お願いしたことを黙々とこなすのです。
ここまで真剣に作業に取り組まれると、我々の日々の仕事の姿勢にも反省すべきところがあるなあと感じずにはおれません。
それを痛感した一幕。
りんごの皮むきをお願いしたときのこと。
中学生のぎこちない包丁使いに「りんごの皮はこうむくんだよ!」
これ見よがしに皮をむいてみせると、感心したような眼をして、自分達もと一生懸命真似をする。
得意になった自分が恥ずかしく、また彼女たちの眼に忘れていた何かを感じずにはいられませんでした。
彼女たちにとって、社会から学び取るという授業の一環が、我々にとっても忘れていた何かを思い出させてくれたのかもしれません。
彼女たちとの二日間、それは新たな発見もあり、忘れ物を思い出させてくれた二日間でした。
あれ以降しばらくは、スタッフも何かそれぞれに考える日々が続いたようです。
妙に神妙な態度でしたから。
松本 記
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